社会福祉法人 多摩同胞会

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理事のリレーメッセージ

理事10名が個人の経験や考えについて、毎月交代でメッセージをお送りします。

   

2024年度(2024年4月~2025年3月)

2024年7月 理事のリレーメッセージ

養老院ことはじめ5

前回、明治初年の困窮者救護施設、「義育舎」の紹介をしたが、困窮者の救護施設には必ずと言っていいほど高齢者・老人は入所(収容)されているために、養老院名簿などには「養老院」名称ではない救護施設が登場してくる。
そうした施設の一つとして、江戸時代中頃、宝暦年間(1760年代)に滋賀県で設けられた「高宮賑窮舎」を挙げることができる。困窮者救済の施設の前身はそんな時代にまで遡るということである。
中山道の宿場町であった高宮村に、宝暦時代、庄屋の谷沢新助が「報謝多屋」を造り、鰥寡孤独の者や貧困な住民を収容し、米銭を給与し生活を助けたことにはじまったと、昭和11年刊の『大日本社会事業年表』に記述されている。この「報謝多屋」は、どのような事情からか、約80年続いて、天保10(1840)年に廃止されている。それが幕末の混乱期、慶応2(1866)年に再び高宮村の庄屋、北川忠四郎らの手で「報謝宿」が設けられ、復活した。(続く)

理事 小笠原 祐次


 

2024年6月 理事のリレーメッセージ

民主化と戦争回避の英知

帝国の滅亡
第一次世界大戦(1914年~18年)は、スペインを除く大部分の欧州諸国と、アメリカ、ロシア、トルコが参戦し、その結果、4つの帝国が滅びました。ロシア帝国はロシア革命により、オスマントルコ帝国はアタチュルクのトルコ近代化により、オーストリア・ハンガリー帝国はチェコなど被支配国の独立により、ビスマルクのドイツ帝国は敗戦により、いずれも滅びました。しかし、これらの帝国の消滅は、その原因に着眼すると、20世紀の民主化への道に連動しているという見方もできるのではないかと思います。

第二次世界大戦
第一次大戦後、ドイツは一時的にワイマール憲法による民主体制を選びましたが、巻き返しを標榜するヒトラーの支配を受け入れ、第二次世界大戦となり、民主主義制度は軽視されました。

第二次大戦後の民主化のひろがり
第二次大戦後の「独裁」は、ソ連による実力行使を特徴としています。ドイツは東西に分断支配され、東欧諸国は「プラハの春」に示されたように、ソ連の意向に反する民主主義的言動を戦車が数時間でつぶす、というものでした。
しかし独裁の下でも、政治家として勇気ある選択がありました。その一つは、1962年のキューバ危機(中距離核ミサイルのキューバ配備)で、米国の強硬姿勢を前に配備を中止したというフルシチョフ首相の平和維持の選択です。二つは、ゴルバチョフ書記長がサッチャーら西側首脳と信頼関係を築いて、1989年のベルリンの壁の崩壊が象徴する民主化を実現(しようと)したことです。民主主義が社会運営の手段として、その「承認」圧力が広範に存在していたのです。

戦争の回避―勝者はいない
こうして民主主義への歴史を見てくると、実力による隣国への侵攻がいかにアナログ政策であるかが痛感されます。侵攻国も実力をはるかに超える戦費調達の結果、国民生活に窮乏がしわ寄せされ、数多の青年を戦死させ、戦後復興の担い手を失い、さらに戦後にハイパーインフレのリスクを国民に強いることにもなりかねません。侵攻者も決して勝者になり得ない。戦争回避こそが人類の英知だと痛感します。

理事 板垣 光繁
(弁護士)


 

2024年5月 理事のリレーメッセージ

my own words -自分の言葉を-

新緑の山

仕事をする上で 大切な視点として挙げたい要素には
コミュニケーションと気づきがあります

ヒトによってはもちろんのこと 用いる時代や環境等で
言葉のもつ意味あいが異なることも しばしばあります
相手に気持ちを正しく伝えることはむずかしく
時には誤解を招いてしまうことさえあります

コミュニケーションのスキルアップ研修で リフレーミング
文字通り 枠組みを替える演習がありました
例えば 短所を長所に置き換えてみる
「一つのことに集中できない」は 「多岐にわたり興味が旺盛である」
とか 「ひろい視野でものごとがみれる」
などと他者に置き換えてもらうと なんとなく嬉しいものです
また 断定的に事実を言い放つより 私はこう思うのだけど などと
前置きをした言い方にすることで 感じる印象も違うものになり
相手を尊重することで コミュニケーションが取りやすい環境になります

先日 通院帰りに ふと入った本屋さんで タイトルに魅かれ 「あなたの言葉を」 を手にしました
作者は辻村深月さんで 毎日小学生新聞に連載している記事をまとめたものだそうです
小学生に語る文の調べは とても 優しく わかりやすく 綴られていて感動しました
多くの子どもたちに この本を読んでもらい 「自分の言葉」を見つけて
感じた気持ちを なんでも話せるようになれることを願います
大人たちも あなたの言葉 を 一緒にさがしてあげられればと思います

もうひとつは 常にアンテナを高く持ち広角度にものごとを窺うことです
昨日できたことが、なぜ今日はできないのだろう
なぜこの人は いまここにいるのだろう
お返事をくれないのはなぜだろう
いつもとは違う事象に常に疑問をもつことにしています
朝の連続テレビ小説での 「はて ?」 にしても 私が日頃から大切にしているキーワード「WHY ?」と
通ずるものがあり 結果さまざまな 気づき を促します
疑問を解明することで  ああそうかと安心することもあれば
起こってはならないことを未然に防ぐこともできるのではないかと思います

ともあれ 心地よい季節になりました
わたしは 桜咲く より 若葉萌ゆ の まさにいまの時季が好きです

業務執行理事 坂本 卓穂


 

2024年4月 理事のリレーメッセージ

令和の福祉

桜

私が社会福祉の仕事に就いた1960年代半ばのホームのご利用者はすべて明治生まれ、戦時の傷跡を深く刻んだ方々でした。
大正・昭和・平成・令和と時代が移り、明治や大正生まれの方を親に持つ昭和世代の方々が令和のご利用者です。
時代とご利用者の変化、法人の事業をたどってみると、改めて社会福祉の仕事は時代と社会をリアルに映す鏡のように思われます。

令和に入った翌年2020年1月から2023年5月までは社会全体が新型コロナウイルス感染症対策一色になりました。2023年度は社会福祉法人の仕事にも色彩が戻ってきました。

2000年度の社会福祉の基礎構造改革も大きな転換期でしたが、25年の間に生じた様々なひずみを埋めるように、地域包括ケアシステム、共生社会等をキーワードにした地域づくりがすすめられ、全世代型社会保障が政策の柱となりました。いわば令和の新しい福祉の方向性ともいえます。
全世代型社会保障は、(1)将来世代の安心を保障する (2)力に応じて全世代が支え合う (3)個人の幸福とともに社会全体を幸福にする (4)制度を支える人材やサービス提供体制を重視する(5)社会保障のDXに積極的に取り組む という5つの基本概念が示されています。2024年度の介護報酬の改定もこうした政策を背景にしているようです。

今後どのように具体化されるか未知数ですが、今は改革の方向性を前向きにとらえて、地域のため、ご利用者のため、職員のため「令和の新しい福祉」に向かって脱皮していく年のように思います。

職員層もいわば5世代目のメンバーが法人各事業の中枢を支えています。
新年度もみなさまのご支援ご指導を心よりお願い申し上げます。

理事長 鈴木 恂子