社会福祉法人 多摩同胞会

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理事のリレーメッセージ

理事10名が個人の経験や考えについて、毎月交代でメッセージをお送りします。

   

2023年度(2023年4月~2024年3月)

2024年3月 理事のリレーメッセージ

咲き急ぐ桜

桜

三月の声を聞くと、何となく忙しなさが増してきます。
一年の総決算とともに次年度の準備が重なり、振り返りの余裕のない月です。
季節も日増しに春めいて、桜(ソメイヨシノ)の開花に向けたカウントダウンが続きます。

落ち着かない時期にあっても、この時期には節目となるたくさんの出来事が集中しています。小・中学校の卒業式、大学入試発表、就職・転職準備、人事異動内示の発表、忙殺される新年度準備、そして、東日本大震災の衝撃に心を痛めた日もありました。
成人してからのこの時期の出来事はストレスを伴うものばかりですが、多くの人がこの時期に重なる桜の花に癒された経験があるのではないかと思います。桜は人生の転機に咲く応援花です。

しかし、私の小・中学生の頃を思い返すと、卒業式の桜は蕾が膨らむ最中にあり、開花は四月になってからの入学式に花を添えていたものでした。
この数十年の間に桜の開花時期は大幅に早まりました。気候変動により冬の気温が高くなったことが原因のようです。桜の蕾は、前年秋に休眠に入った後、冬の厳しい寒さをバネに開花するため、冬に十分気温が下がることが開花のために大切な条件とのことです。

将来、温暖化により暖冬がさらに進むと開花時期の変化だけではなく、蕾のまま開花しなくなる事態もやってくると言われています。桜の花の無い日本の春は考えたくありませんが、異常気象による人の生活環境への影響が出始めている現在、年々咲き急ぐ桜に改めて一人ひとりの温暖化対策の必要性を感じます。

今年も多忙な三月が、新たな年度のスムーズなスタートのために頑張るすべての職員の皆さんを桜が見守る中を過ぎていきます。コロナ禍からの真の復活を目指して。

副理事長 平野 耕市
(事務局長)


 

2024年2月 理事のリレーメッセージ

日本の社会福祉は、職員の心意気と頑張りでもっている

雪の中の湖

福祉職場を取り囲む現実がますますきびしくなっている中で、最近つくづく感じることは、社会福祉法人では質の高い仕事がきちっとなされており、それを可能にしているのは、職員の皆さまの心意気と頑張りだということ。ほんとうによくやっています。

憲法第25条には、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、「国は、すべての生活部面において、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めなければならない。」とあり、国の責任が明確に謳ってあるのですが、その実効性については、残念ながらきわめて怪しいものになっています。

社会福祉の対象となる人の数はどんどん膨れあがり、国の財政にも限りがある。 それゆえ、福祉に回せる金は不足しており、国は福祉の課題を経済の市場原理の仕組みと住民の助け合いの精神で対応しようとしているのが実態です。

助け合いの精神でできることには限度があるし、また市場原理となれば、お金のある人には好都合であるのに対して、家族にもお金にも情報にも恵まれない人は、ほんとうに困り果て、行き場を失いつつあるというのが現実の姿ではないでしょうか。

多くの国民は自分の生活の維持に必死で、社会福祉には無関心のように見えます。第一に福祉業界に人が集まりません。優秀な学生は経済活動に興味を持ち、ほんの一握りの若者しか社会福祉の世界に入ってこないので、現場はぎりぎりの体制で大変な量の仕事をこなしているのです。

福祉業界に人が来ない要因の一つは他の産業に比して給与が低いことが指摘されています。我々は長期にわたって一貫して処遇改善を求める声を上げてきていますが、まだ十分ではありません。社会福祉は、今後の日本が取り組まねばならない最大の政治課題です。明確な道しるべを掲げる人が政治を引っ張り、予算の配分を大きく変えなければならない。そのためには、多くの国民が社会福祉の重要性に気づくことがどうしても必要です。

理事 相羽 孝昭
(社会福祉法人アゼリヤ会 前理事長)


 

2024年1月 理事のリレーメッセージ

あの頃のお正月

お正月

先日、理事長と話をしていて、最近の現場にはゆとりというか、余裕のある介護(ケア)が見えなくなっているようだ、なぜなのかといった話題が出た。そのことで、自分の経験から言えば、1960年代の後半、仙台の知的障害児施設では子ども8人に保母1人。指導員(相談員)40人に1人で、男性職員が少ないために、指導員である私と相棒の2人で、年間通して1週間に3回の宿直をしていたが、ひどい職場だと思わずに働いていた。そんな施設で、一番のゆとり時期は、子ども達の7〜8割が自宅に帰る正月期間であった。子どもが少なくなり、子ども達もホッとできるのか、ひどいやんちゃも言わず、騒動、もめ事も極めて少なく、落ち着いた状態が続く期間だったからだ。時間、時間の日課規律の学園生活の中で、唯一、日課なしの期間になっていたこともあり、子ども達ものびのびと自分ペースで寝起きし、いくらか遅い朝には雑煮たっぷりの元旦食を楽しみ、朝掃除当番もなく、雪があれば竹スキー、たこ揚げ、羽根つき、コタツに入ってのカルタ、トランプなどを先生(保母や指導員)と一緒に楽しんでいた。そんな光景を思い出していた。

また、昭和時代の最後、1980年代の末、特養みぎわ園で働いていた当時(寮母配置は4.5対1だったが)には、正月ともなると、園長はじめ女性職員は皆、正月晴着を着、男性職員は背広にネクタイ姿で、朝食には入居のお年寄りに大きな鯛の身をほぐして振る舞い、雑煮を楽しんでもらった。ただ、介助が始まれば晴着という訳にもいかないので、介助着に着替えるが、ほんのちょっとした時間だけでも、ほっとでき、正月気分を楽しんでもらえる工夫をしていた当時を思い起こしていた。
そんな介助・介護、援助(ケア)ができていた時代もあったのだ。

理事 小笠原 祐次


 

2023年12月 理事のリレーメッセージ

農作業

街のイルミネーション

我が家では、食の確保の一端になればと家庭菜園で「玉ねぎづくり」を行っています。例年、木枯らし一番が吹く前の小春日和の日に苗の植えつけしますが、今年は晩秋というのに気温が高く土壌温が上昇ぎみ、半年先の収穫にいい影響が出ることを期待しつつ、額に汗をかきながら苗の植え込み作業を行いました。・・・農作業の楽しさを満喫・・・

その農作業の折、信愛寮の農園で育った里芋をご利用者と一緒に収穫した情景と共に法人創設者中城イマ元理事長の下、高齢者福祉の礎として活躍された故人山崎鶴恵氏を懐かしく思い浮かべることがありました。そこで、「名もなき花を咲かせたい-信念の人 中城イマのあゆみと思い出-」に綴られた山崎鶴恵氏の思い出から養護老人ホーム信愛寮の成り立ちの一部を紹介いたします。

多摩同胞会では、昭和30年代入り、家もなく、職もなく、身寄りもない薄幸なお年寄りが増加してきた社会情勢に対応すべく、この方々のために安定した住居を提供し、共同生活をとの考えを中城元理事長が示され、昭和36年に信愛寮の運営が始まりました。当時は、共同生活に馴染めないなどから喧嘩口論が日常茶飯事で、何か生きがいを持ってもらうにはどうしたらいいのかと試行錯誤しながらお年寄りと向き合う日々でした。中城元理事長の助言もあり、お年寄りが好きなこと、できることを暮らしの中に取り入れることから始めました。活動の場として、農業をしてきた人には畑を確保して種を蒔き、収穫の喜びを味わってもらうなどを進め、女性には編み物を、趣味活動として書道、絵画、俳句、陶芸、踊りなどを、そのほか、バスハイク、旅行、納涼祭などの行事を通じて、共同生活の中でも生きがいを持って暮らしていただける信愛寮が築きあげられてきました。

開設から63年が経過した今でも、山崎鶴恵さんが大切にしてきた『お年寄りは何と言っているの』を継承し、ご利用者を第一に捉えその人らしい暮らしが営めるよう取り組んでいます。

これからもそんな信愛寮を見守っていこうと思います。

業務執行理事 松崎 哲也


 

2023年11月 理事のリレーメッセージ

介護の魅力

紅葉した山

通勤途中に何処からか金木犀の香りが漂い、深呼吸をしながら季節の移ろいを感じています。丁度1か月前には、花茎の長い真っ赤な彼岸花が咲いており、明治、大正生まれの方々のことを思い出しました。

ご利用者との係わりの中では多くの感動的なシーンがあります。90歳代のご利用者の食事介助では、食事形態がペースト食でしたので主菜や副菜のメニューを説明し、ご本人の嚥下状態に注意して介助を行いました。綺麗にすべて召し上がっていただけたことにお礼をいうと、その方は両手で私の手を握りしめ「お姉さん、ありがとう。お姉さん、ありがとう」と、何度も言葉をかけてくださいました。発語はほとんどない方でしたので、驚きとともに心あたたかな共感がありました。日常の些細な出来事ではありますが、その積み重ねが介護の喜びや、やりがいになり、自信にもなります。看取り対応などで、ご家族にお悔やみを申し上げる時には「職員はご利用者から多くの事を学ばせていただきました」と感謝の気持ちをお伝えしています。

社会福祉法人の短期、中長期課題の一番は「職員の確保」が挙げられます。国の「介護人材確保」対策や東京都高齢者福祉施設協議会などでもさまざまな対策を行っていますが、大変厳しい状況です。今後も職場環境等の改善とともに、多くの方に『介護の魅力』を知っていただきたいと思っています。
末筆ではございますが、この6月から理事に就任しました。微力ではありますが、どうぞよろしくお願いします。

理事 山口由美子
(社会福祉法人三徳会 理事)


 

2023年10月 理事のリレーメッセージ

多摩同胞会との出会い

このたび新任の理事として就任いたしました。

私の多摩同胞会との出会いは、平成5年4月の「府中市立あさひ苑」開設準備室に就職をしたのがきっかけです。
看護師として病院での経験しかなく、施設での仕事は初めてで、学ぶことが本当に多くありました。そして30年の月日が経ちました。

作家吉川英治氏の「われ以外みなわが師」は法人創設者中城イマ元理事長がよく言われていたお言葉です。仕事でも、人生でも何かあるたびにこの言葉を思い出し、私の人生訓となっています。これからもこの心持ちで皆様から教えていただき励んでいきたいと思います。

若輩者ですがよろしくお願いいたします。

理事 岡村 敬子
(緑苑施設長)


 

2023年9月 理事のリレーメッセージ

敬老の日に思う法人のあゆみ

敬老

当法人は2年後に数えで80歳になります。
1946年終戦直後に戦地から戻らぬ夫や父、戦災で住む家を失い、行き場所のない母と子がその絆を離されることなく共に生活できるようにと、できたのが網代母子寮(現網代ホームきずな)です。
当時の母親世代はほとんどが明治生まれ、現在すでに鬼籍に入られ、その子ども世代が若くて70代。多くは80、90代です。

1963年養護老人ホーム信愛寮ができた後、網代母子寮で子どもが巣立って単身になったお母さんが順次信愛寮に移られました。その後、更なる高齢化が進み、介護を必要とする方が増え、1975年特別養護老人ホーム信愛泉苑ができました(法人創設から30年目です)。
この頃、社会人として自立した子どもたちに迎えられて新しい生活をはじめられた方も多くおられた一方、信愛泉苑に移られ最期を迎えられた方もおられました。
法人の歩みがそのままご利用者の人生のあゆみに深くかかわってきたことをあらためて実感します。

しかしそれから後の50年の間に法人のしごとも大きく変化し、施設を拠点として地域の皆様に介護や子育て支援の「サービス」を提供するようになりました。
高齢施設の全職員が出勤してお祝いした9月15日の敬老の祝日も2003年度からはハッピーマンデー制度により9月第3月曜日に変更され、当法人各施設の敬老祝賀会も敬老週間のなかで行われています。

ご利用者の多くが昭和生まれ(昭和元年=1926年生まれの方が97歳)となり、大正生まれの方は一割弱になりました。昭和生まれを平成生まれが支える令和の時代が間近に感じられます。

歳月の流れのなかで変化する社会の要請に応えていくことが社会福祉法人の使命であることはいつの時代も変わりがありません。

理事長 鈴木 恂子


 

2023年8月 理事のリレーメッセージ

新任のご挨拶

夏の川

『皆様、はじめまして。私は社会福祉法人多摩同胞会の新任理事として、地域の皆様と共に地域福祉の発展に尽力することを心より喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。
当法人は、地域の皆様との絆を大切にし、さまざまな福祉サービスを提供する法人として長年にわたり活動してまいりました。これまでの先輩方の尽力と、地域の皆様から寄せられた温かいご支援に深く感謝いたします。引き継ぐ使命として、より多くの方々に温かなサポートを届けるため、私たちのサービスを進化させていくことを心に誓っております。地域の皆様とのコミュニケーションを大切にし、ニーズに合ったサービスを提供していくことで、より地域に根差した福祉活動を展開してまいります。また、当法人のスタッフに対しても、一人ひとりが成長できる環境づくりを心がけてまいります。スタッフ一同が高い専門性を持ちながらも、温かな心を持ってサービスを提供できるよう・・・・・・・』

これは、今注目されているAIチャットボット「ChatGPT」に新任理事としてホームページに掲載する挨拶文を書かせた結果の一部です。正直私らしくはないのですが、文章としてはなかなかの出来栄えではないでしょうか?

昨今急速にAI(人工知能)が注目を集めるようになっているのは、人間の脳のように、自律的に特徴やルールを学習し、自ら判断して結果を導きだすというテクノロジーの認識性能が飛躍的に向上したからです。今後ますますAIが進化していく中、企業にとって、AIをどのように活用していくのかが重要な経営課題となっております。介護の現場におけるAIの活用、様々な可能性があるのではないかと思います。

さて、私ですが、このたび理事の職を拝命しましたが、新任とはいうものの、その前に4期7年当法人の監事を務めてまいりましたので、8年目となります。いわゆる「社外役員」の立場ですが、監事から理事に立場を変えまして、長い歴史のある当法人の「引き継ぐ使命」を果たしてまいります。

理事 松岡 一臣
(公認会計士・税理士)


 

2023年7月 理事のリレーメッセージ

三たびの 養老院 事始め

ひまわり

まだ養老院探しは続いている。昭和12年に社会事業研究者の高橋梵仙氏が、中央社会事業研究所の冊子に「明治初年の養老院」という文章を発表し、「義育舎規則」という資料を添えて「義育舎」が明治初年に公的に作られた初めての「養老院」と紹介された。
日本の養老院名称の第一号は、明治28年に東京で創設された「聖ヒルダ養老院」ということになっているので、「義育舎」があったのなら重大な歴史的事実になる。教科書も書き換えなければならない。しかし、高橋梵仙の紹介に関わらず、存在が証明されず「老人福祉」の主な文献での紹介はほぼ行われてこなかった。「義育舎」は幻の養老院であった。
高橋文献では「義育舎」が旧品川県9番組(現在の小金井市周辺)に所在したとのことであったので、今年になって品川図書館と小金井市文化財センターを訪問し、小金井市史とその底本になった旧名主家の文書から、「義育舎」が存在していたことが判った。
「文書」からは、江戸末期から明治初年にかけて、社会の混乱や水害などで9番組では困窮する人が増え、その救済のために名主らが出し合った「稗3俵」を元手にし、近隣の空き家を改装して「義育舎」をつくり、9番組内の「極貧困」「困窮」者を明治4年から6年の2年間ほどの間、救済してきたことが判明した。
「義育舎」は年齢を問わない困窮者救済の救護施設であった。所在はしていたが「養老院」ではなかった。依然わが国では、養老院名称の第一号施設は「聖ヒルダ」である。

理事 小笠原 祐次


 

2023年6月 理事のリレーメッセージ

一つの憲法論

あじさい

国家像の対立

1989年の冷戦終結後の国際情勢は、冷戦対立に代わって、「自由な民主主義国家」を代表する政府と「独裁的な権威主義国家」を支配する政府との対立と競合を特徴としています。

我が国の地政学的位置

我が国の地政学的位置をみると、ロシアは、日本海が隔てているとはいえ隣国であり、しかも不法占拠された北方領土は北海道と至近距離にあります。また台湾の北東側に位置する宮古島や尖閣諸島などの沖縄南西諸島は、台湾有事の際に台湾包囲網を構築するために攻撃される可能性があり、さらには米中対立のキーストーンとなる駐日米軍基地があります。

他人事ではないウクライナ戦争

ロシアのウクライナ侵攻は、権威主義国家の政府が民主主義国家の主権を否定して侵攻した顕著な例であり、欧米各国のウクライナ支援は、自由と民主主義の現在および将来を守ろうとするものであり、台湾海峡における権威主義国家中国と民主主義台湾との緊張関係も同様だと思います。
私たちは、その地政学的状況が我が国を望まぬ戦争に巻き込むのではないかと敏感に受け止め、その結果、ウクライナ戦争を他人事ではないと考えているのではないでしょうか。

戦争の未然防止

そうした私たちは、改めてウクライナ戦争の実態、すなわち侵略者の残虐行為、両軍の兵士と無辜の市民多数の死傷、市民生活の完全な破壊などの諸事実を、ニュース映像などにより知っています。その結果、平和な生活を奪われたウクライナ国民が断固として戦っている姿に感動と共感をもつ一方、同時に戦争の悲惨さを目の当たりにして、戦争を未然に防ぐことが第一の目標であるべきだということを再認識するに至りました。

憲法前文

そこで日本国憲法の前文に注目したいと思います。前文は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあります。注目すべきなのは、公正と信義を信頼する対象は「諸国民」であり、「国家を代表または支配する政府」ではないことです。なぜなら、政府は一時的な存在であり、諸国民は恒久的な存在です。そのことを重視し、歴史の変化に耐えうる真の信頼は諸国民の中にあると洞察しているのです。したがって、憲法前文が、急遽顕在化したロシアの暴虐と中国の脅威によって公正と信義を信頼する対象を失った結果、時代遅れの役に立たない文章になったとするのは誤りで、それは政府と国民の違いを見落とすものであると思います。

外交などの戦争防止策

あらためて我が国の国際的な位置を見直すと、我が国は自由・民主主義・法の支配といった共通の価値観を有するG7(先進7か国)の一員であり、同様の価値観を共有するクアッド(インド洋と太平洋を囲む日米豪印4か国が安全保障や経済について協議する枠組み。そのGDPの合計額は中国の2倍。)の提唱者であり、日米同盟の抑止力があり、EU、イギリス、フランスが次々に安全保障について我が国との協力関係を申し入れており、我が国の国際活動がアジア、中東、アフリカで平和的なものである実績も広く認識されており、観光や文化活動などによる日本文化への理解が世界に浸透するなど、戦争を抑止する手立てを持っていると思います。これらを意識的に総動員して、戦争防止の目的を追求できるのではないでしょうか。

安全保障の教訓

ウクライナは、自らが先頭に立って侵略者と戦うことなくして、国際的な支援は受けられないという教訓を示しました。しかし、彼らの戦いが「自由・民主主義・法の支配」という普遍的価値を守る戦いであるからこその国際支援なのだと思います。
スウェーデンは、この度のロシアの脅威に備えてフィンランドとともにNATO加盟を申請しましたが、それ以前はロシアを刺激することなくノルウェイのみが加盟する慎重な配慮をしていたのではないか、と私は推測します。
私たちは悲惨な太平洋戦争という負の記憶があり、そのため安全保障について曖昧な議論をしてしまいますが、それは決して褒められたことではないように思うのですがいかがでしょうか。

理事 板垣 光繁
(弁護士)


 

2023年5月 理事のリレーメッセージ

Melody & Poem

藤

今日(こんにち)まで続く趣味のひとつに「音楽を聴く」というものがありますが
私の音楽へのアプローチには  幼少期より偏りがありました
クラシックから興味を持ったからかもしれませんが
歌詞のないメロデイに惹かれ  その旋律に作者のおもいを想像しては
答えのない深みと荘厳さをリスペクトしていました
いまでも「トッカータとフーガ」や「ため息」に感嘆し
「Atom Heart Mother」や「ケルンコンサート」に心酔しているのはこのためでしょうか

若いころは歌詞があっても  その意味まで深くは理解しようとせず
音の抑揚を味わっていたばかりでしたが
年を重ねて 詞の素晴らしさが感じられるようになり
両方を同時に楽しむのみならず  詩だけを  またはメロデイだけを楽しむことが
できるようになりました
音も詩も それぞれの魅力を発しながらも  互いに相手を引き立てつつ
1+1が 2以上の輝きを放っている
その両面が 心に響くものが好きな曲となるのでしょう

ときに 一方が一方のよさを打ち消してしまうこともあります
たとえば日常の会話などでは 言葉選びが大切ですが
同時に発声も重要になってきます
言葉に 声の抑揚や大小というメロデイが加わることにより
発言者のきもちが 受け手に伝わる印象 ニュアンスがわずかに変化します
その時の双方の感情にもよりますが
ここに違和感を覚えると 誤解や嫌悪感が生まれてしまいます
特に価値観の異なるもの同士では 相手にどのように伝えるかがとても大切です
雨音でさえ 受け手の捉え方によって 心地よい響きにもなれば  不愉快にも聴こえます
家族・仕事仲間・友人等との日々の生活は いわばオペラの連続のようです
互いに 心地よい一幕一幕であるように心掛けたいと思います

業務執行理事 坂本 卓穂


 

2023年4月 理事のリレーメッセージ

事業計画と福祉サービス第三者評価

桜

コロナ禍の三年間という長いトンネルを抜けて、出口のあかりがみえてきました。しかしウィルスが消滅したわけではなく、基本的な感染対策にしっかり取り組みながら従前の日常生活を回復する年度になりそうです。

昨年度は当法人の各施設は新型コロナウイルス感染症の陽性者の発生に伴い、新規入所者の停滞・自粛、各事業の休止等により日々の利用実績が低下しました。その上、光熱水費をはじめとする物価高騰の影響を受け、結果全ての高齢施設で厳しい財務状況に陥りました。
2023年度はご利用者、職員の日常生活の回復とともに財務状況の改善は喫緊の重要な課題となっています。
 
会計責任者である各施設長はサービスの質の向上、地域活動・災害対策、ICTの定着、組織活性化や職員育成、あるいは人材確保・定着、光熱水費をはじめとする物価高騰対策等々に加えて、収支状況の改善に真剣に向き合った新年度事業計画・予算になります。

事業計画の大切な柱のひとつは利用者サービスの質の向上です。そのために当法人全ての施設・事業は東京都福祉サービス第三者評価を年一回受審しています。
特別養護老人ホームをはじめ各事業ごとに受審し、評価を受けますが、そのなかで「組織マネジメント」の講評に「創業以来の理念が脈々と受け継がれています」「制度と人を繋げる」だけではない「入居者・家族に寄り添う」取組みは好感をもてます、とコメントされていました。
理念の共有、浸透、あるいは相談業務の質の向上はみえにくく、わかりにくい地道な取組ですが、評価者に評価していただけたことは、今後の大きな自信につながると思います。
それぞれの拠点で施設長を中心に、ひとりひとりの職員が事業計画にそって、利用者サービスの向上や地域支援に努める一年にしたいと願っています。

今年度もご指導、ご支援のほどよろしくお願いします。

理事長 鈴木 恂子