理事のリレーメッセージ
理事10名が個人の経験や考えについて、毎月交代でメッセージをお送りします。
2025年度(2025年4月~2026年3月)
2025年7月 理事のリレーメッセージ
生産性向上推進の取り組み
令和6年の介護報酬改定では表題の生産性向上を推進することが求められるようになりました。そこで、昨年コンサルタント事業を申し込み、取り組みを行う事としました。まずは5S活動の内容について説明を受けました。
5Sとは整理、整頓、清掃、清潔、躾の5種類を指しているとのことでした。
① 整理…必要なものと不必要な物を分けて、不用品は処分する
② 整頓…誰が見ても分かるように置き方や置き場所を決める。見取り図を作る。
③ 清掃…きれいな状態を保ち、点検する。
④ 清潔…きれいな状態を維持する。上記3つ整理、整頓、清潔を維持する。
⑤ 躾…ルールを決めて皆で守る。それを習慣づける。
この内容を聞くと、一般家庭の片付けと変わらないなと感じました。
しかしここでのポイントはこの順番で行っていくという事。また職員皆で考えて組織的に取り組むこと。スケジュールを決めて皆で必要、不必要を分類して捨てる。整理をして、ルールを決めてそれを守っていく。施設には大勢の職員がいます。皆で決めてルール化し周知していくことが重要であることを改めて実感しました。昨年緑苑では、福祉用具置き場と感染症物品の置き場を整理しました。そんな小さな一歩ですが、引き続きICTの活用等にも取り組み、生まれた時間をご利用者との大切な「ひととき」とできるようにしていきたいと思います。それが生産性向上につながりまた働きやすい環境になっていくと信じて進めていきます。
理事 岡村 敬子
(緑苑 施設長)
2025年6月 理事のリレーメッセージ
介護保険サービスの変化
介護保険制度が「介護の社会化」や「利用者本位・選択的利用」、「高齢者の自立支援」などを目標にして、2000(平成12)年に開始されてからほぼ四半世紀が過ぎた。この間、制度の内容、手続き、仕事の仕方など「措置制度」時代から見ると大きく変わったが、提供される介護(福祉)サービスの様相も大きく変わった。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、老人保健施設、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など長期生活施設の全体が大きく増えている。2000年で66万人分だったのが、2021年では218万人分へと約3倍強増えている。「介護の社会化」と言う点では、施設量の増加は利用の枠の増加を意味するという面で前進ではある。高齢者の人口比で見ても2000年では3.0だったのが、2021年では6.1に増大している。ただこの変化は特別養護老人ホームの30万人分増加はあるものの、第1は、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など営利法人が設置した施設の増加、約100万人分増によっているのである。
在宅部門を見ても、訪問介護、通所介護、認知症グループホームなど大幅な増設が進んだが、その多くが営利法人のものであった。訪問介護では2003年で営利法人経営が48%であったものが、2023年では72%に増加、通所介護は2003年営利法人16%が2023年54%に、グループホームは2003年営利法人38%が、2023年では57%と、主要な在宅サービスが主に営利企業によって提供されている事態に至っている。今や介護サービスは営利企業の市場になっていることを示している。「福祉」はどこへ?と言った事態である。
理事 小笠原 祐次
2025年5月 理事のリレーメッセージ
ONLY ONE
桜の時季がすぎると、新樹が萌えます
武蔵台のカナメの生垣も色よく深み どうだんは小さく白い鈴をゆらします
今年の苑庭には、可愛い花たちが並びます
しらとりの職員と子どもたちが一緒に 鉢から移し替えてくれました
黄、赤、桃、橙、水色、青、紫と小さいながらも
その彩に心が和みます
先日 泉苑ご利用のご婦人が 車いすを職員に介助され
花壇の前で足を止め あの水色は なんというお花かしら とお尋ねになりました
勿忘草 です そうお応えすると
しばらくじっと見つめ 素敵な花ね と その可憐さをかみしめていらっしゃるようでした
私には 満開の桜よりも 勿忘草が心に沁みたのだと思えました
昔 家族で会食してると ほろ酔い加減の父が
いろんな花があるけど みんな綺麗だね・・・
と 口ずさみ ぬる燗を味う姿を思い出します
え SMAP知ってるんだ・・・ 思わず皆で微笑んでしまいました
父の感性にマッチしたらしく
語るように歌う情景が 目に浮かびます
ナンバーワンに ならなくてもいい
もともと特別な ONLY ONE
業務執行理事 坂本 卓穂
2025年4月 理事のリレーメッセージ
転換期の新年度を迎えます
当法人にとっては創設80年目の新年度を迎えます。
戦後1946年に始まり、昭和・平成・令和と時を重ね、大きな時代の変化を実感します。
先日の会議において生成AIによる会議録の作成を試行しました。ほぼ即時に発言者ごとの記録、概要、要約が仕上がり、個人によるものよりはるかに整った用語使いで要領よくまとめられた会議録に接しました。
恐るべしAI力。これなら会議録作成に費やしていた職員の時間が省力化され、一段と業務効率がすすみ、その時間をご利用者の直接援助のためにつかえると納得しました。
今年度は来たるべき2040年の人口構造の大きな変化、それにともなう人材難の深刻化を視野において、「生産性向上」すなわち業務改善に本格的に取り組む初年度になります。
福祉や介護、子育てという対人支援を柱とする当法人の業務と「生産性向上」は当初違和感もありましたが、施設の生産性向上の具体的な業務改善は次の七点といわれています。これらはすべて働きやすい職場づくり、そして本来的なわたしたちの仕事の質を高めることにつながります。
- 職場環境の整備
- 業務の明確化と役割分担
- 手順書の作成
- 記録・報告様式の工夫
- 情報共有の工夫
- OJTのしくみづくり
- 理念・行動指針の徹底
以上は従来もとりくんできたことでもあります。あらためて意識的にしっかり積み重ねていきたいと思います。
そしてICTの活用によるDXの推進が、新たな要素、新しい手段として現場の職員の大きなサポーターになってくれることを期待します。
今年度もご支援ご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
理事長 鈴木 恂子