社会福祉法人 多摩同胞会

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理事のリレーメッセージ

理事10名が個人の経験や考えについて、毎月交代でメッセージをお送りします。

   

2023年度(2023年4月~2024年3月)

2023年9月 理事のリレーメッセージ

敬老の日に思う法人のあゆみ

敬老

当法人は2年後に数えで80歳になります。
1946年終戦直後に戦地から戻らぬ夫や父、戦災で住む家を失い、行き場所のない母と子がその絆を離されることなく共に生活できるようにと、できたのが網代母子寮(現網代ホームきずな)です。
当時の母親世代はほとんどが明治生まれ、現在すでに鬼籍に入られ、その子ども世代が若くて70代。多くは80、90代です。

1963年養護老人ホーム信愛寮ができた後、網代母子寮で子どもが巣立って単身になったお母さんが順次信愛寮に移られました。その後、更なる高齢化が進み、介護を必要とする方が増え、1975年特別養護老人ホーム信愛泉苑ができました(法人創設から30年目です)。
この頃、社会人として自立した子どもたちに迎えられて新しい生活をはじめられた方も多くおられた一方、信愛泉苑に移られ最期を迎えられた方もおられました。
法人の歩みがそのままご利用者の人生のあゆみに深くかかわってきたことをあらためて実感します。

しかしそれから後の50年の間に法人のしごとも大きく変化し、施設を拠点として地域の皆様に介護や子育て支援の「サービス」を提供するようになりました。
高齢施設の全職員が出勤してお祝いした9月15日の敬老の祝日も2003年度からはハッピーマンデー制度により9月第3月曜日に変更され、当法人各施設の敬老祝賀会も敬老週間のなかで行われています。

ご利用者の多くが昭和生まれ(昭和元年=1926年生まれの方が97歳)となり、大正生まれの方は一割弱になりました。昭和生まれを平成生まれが支える令和の時代が間近に感じられます。

歳月の流れのなかで変化する社会の要請に応えていくことが社会福祉法人の使命であることはいつの時代も変わりがありません。

理事長 鈴木 恂子


 

2023年8月 理事のリレーメッセージ

新任のご挨拶

夏の川

『皆様、はじめまして。私は社会福祉法人多摩同胞会の新任理事として、地域の皆様と共に地域福祉の発展に尽力することを心より喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。
当法人は、地域の皆様との絆を大切にし、さまざまな福祉サービスを提供する法人として長年にわたり活動してまいりました。これまでの先輩方の尽力と、地域の皆様から寄せられた温かいご支援に深く感謝いたします。引き継ぐ使命として、より多くの方々に温かなサポートを届けるため、私たちのサービスを進化させていくことを心に誓っております。地域の皆様とのコミュニケーションを大切にし、ニーズに合ったサービスを提供していくことで、より地域に根差した福祉活動を展開してまいります。また、当法人のスタッフに対しても、一人ひとりが成長できる環境づくりを心がけてまいります。スタッフ一同が高い専門性を持ちながらも、温かな心を持ってサービスを提供できるよう・・・・・・・』

これは、今注目されているAIチャットボット「ChatGPT」に新任理事としてホームページに掲載する挨拶文を書かせた結果の一部です。正直私らしくはないのですが、文章としてはなかなかの出来栄えではないでしょうか?

昨今急速にAI(人工知能)が注目を集めるようになっているのは、人間の脳のように、自律的に特徴やルールを学習し、自ら判断して結果を導きだすというテクノロジーの認識性能が飛躍的に向上したからです。今後ますますAIが進化していく中、企業にとって、AIをどのように活用していくのかが重要な経営課題となっております。介護の現場におけるAIの活用、様々な可能性があるのではないかと思います。

さて、私ですが、このたび理事の職を拝命しましたが、新任とはいうものの、その前に4期7年当法人の監事を務めてまいりましたので、8年目となります。いわゆる「社外役員」の立場ですが、監事から理事に立場を変えまして、長い歴史のある当法人の「引き継ぐ使命」を果たしてまいります。

理事 松岡 一臣
(公認会計士・税理士)


 

2023年7月 理事のリレーメッセージ

三たびの 養老院 事始め

ひまわり

まだ養老院探しは続いている。昭和12年に社会事業研究者の高橋梵仙氏が、中央社会事業研究所の冊子に「明治初年の養老院」という文章を発表し、「義育舎規則」という資料を添えて「義育舎」が明治初年に公的に作られた初めての「養老院」と紹介された。
日本の養老院名称の第一号は、明治28年に東京で創設された「聖ヒルダ養老院」ということになっているので、「義育舎」があったのなら重大な歴史的事実になる。教科書も書き換えなければならない。しかし、高橋梵仙の紹介に関わらず、存在が証明されず「老人福祉」の主な文献での紹介はほぼ行われてこなかった。「義育舎」は幻の養老院であった。
高橋文献では「義育舎」が旧品川県9番組(現在の小金井市周辺)に所在したとのことであったので、今年になって品川図書館と小金井市文化財センターを訪問し、小金井市史とその底本になった旧名主家の文書から、「義育舎」が存在していたことが判った。
「文書」からは、江戸末期から明治初年にかけて、社会の混乱や水害などで9番組では困窮する人が増え、その救済のために名主らが出し合った「稗3俵」を元手にし、近隣の空き家を改装して「義育舎」をつくり、9番組内の「極貧困」「困窮」者を明治4年から6年の2年間ほどの間、救済してきたことが判明した。
「義育舎」は年齢を問わない困窮者救済の救護施設であった。所在はしていたが「養老院」ではなかった。依然わが国では、養老院名称の第一号施設は「聖ヒルダ」である。

理事 小笠原 祐次


 

2023年6月 理事のリレーメッセージ

一つの憲法論

あじさい

国家像の対立

1989年の冷戦終結後の国際情勢は、冷戦対立に代わって、「自由な民主主義国家」を代表する政府と「独裁的な権威主義国家」を支配する政府との対立と競合を特徴としています。

我が国の地政学的位置

我が国の地政学的位置をみると、ロシアは、日本海が隔てているとはいえ隣国であり、しかも不法占拠された北方領土は北海道と至近距離にあります。また台湾の北東側に位置する宮古島や尖閣諸島などの沖縄南西諸島は、台湾有事の際に台湾包囲網を構築するために攻撃される可能性があり、さらには米中対立のキーストーンとなる駐日米軍基地があります。

他人事ではないウクライナ戦争

ロシアのウクライナ侵攻は、権威主義国家の政府が民主主義国家の主権を否定して侵攻した顕著な例であり、欧米各国のウクライナ支援は、自由と民主主義の現在および将来を守ろうとするものであり、台湾海峡における権威主義国家中国と民主主義台湾との緊張関係も同様だと思います。
私たちは、その地政学的状況が我が国を望まぬ戦争に巻き込むのではないかと敏感に受け止め、その結果、ウクライナ戦争を他人事ではないと考えているのではないでしょうか。

戦争の未然防止

そうした私たちは、改めてウクライナ戦争の実態、すなわち侵略者の残虐行為、両軍の兵士と無辜の市民多数の死傷、市民生活の完全な破壊などの諸事実を、ニュース映像などにより知っています。その結果、平和な生活を奪われたウクライナ国民が断固として戦っている姿に感動と共感をもつ一方、同時に戦争の悲惨さを目の当たりにして、戦争を未然に防ぐことが第一の目標であるべきだということを再認識するに至りました。

憲法前文

そこで日本国憲法の前文に注目したいと思います。前文は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあります。注目すべきなのは、公正と信義を信頼する対象は「諸国民」であり、「国家を代表または支配する政府」ではないことです。なぜなら、政府は一時的な存在であり、諸国民は恒久的な存在です。そのことを重視し、歴史の変化に耐えうる真の信頼は諸国民の中にあると洞察しているのです。したがって、憲法前文が、急遽顕在化したロシアの暴虐と中国の脅威によって公正と信義を信頼する対象を失った結果、時代遅れの役に立たない文章になったとするのは誤りで、それは政府と国民の違いを見落とすものであると思います。

外交などの戦争防止策

あらためて我が国の国際的な位置を見直すと、我が国は自由・民主主義・法の支配といった共通の価値観を有するG7(先進7か国)の一員であり、同様の価値観を共有するクアッド(インド洋と太平洋を囲む日米豪印4か国が安全保障や経済について協議する枠組み。そのGDPの合計額は中国の2倍。)の提唱者であり、日米同盟の抑止力があり、EU、イギリス、フランスが次々に安全保障について我が国との協力関係を申し入れており、我が国の国際活動がアジア、中東、アフリカで平和的なものである実績も広く認識されており、観光や文化活動などによる日本文化への理解が世界に浸透するなど、戦争を抑止する手立てを持っていると思います。これらを意識的に総動員して、戦争防止の目的を追求できるのではないでしょうか。

安全保障の教訓

ウクライナは、自らが先頭に立って侵略者と戦うことなくして、国際的な支援は受けられないという教訓を示しました。しかし、彼らの戦いが「自由・民主主義・法の支配」という普遍的価値を守る戦いであるからこその国際支援なのだと思います。
スウェーデンは、この度のロシアの脅威に備えてフィンランドとともにNATO加盟を申請しましたが、それ以前はロシアを刺激することなくノルウェイのみが加盟する慎重な配慮をしていたのではないか、と私は推測します。
私たちは悲惨な太平洋戦争という負の記憶があり、そのため安全保障について曖昧な議論をしてしまいますが、それは決して褒められたことではないように思うのですがいかがでしょうか。

理事 板垣 光繁
(弁護士)


 

2023年5月 理事のリレーメッセージ

Melody & Poem

藤

今日(こんにち)まで続く趣味のひとつに「音楽を聴く」というものがありますが
私の音楽へのアプローチには  幼少期より偏りがありました
クラシックから興味を持ったからかもしれませんが
歌詞のないメロデイに惹かれ  その旋律に作者のおもいを想像しては
答えのない深みと荘厳さをリスペクトしていました
いまでも「トッカータとフーガ」や「ため息」に感嘆し
「Atom Heart Mother」や「ケルンコンサート」に心酔しているのはこのためでしょうか

若いころは歌詞があっても  その意味まで深くは理解しようとせず
音の抑揚を味わっていたばかりでしたが
年を重ねて 詞の素晴らしさが感じられるようになり
両方を同時に楽しむのみならず  詩だけを  またはメロデイだけを楽しむことが
できるようになりました
音も詩も それぞれの魅力を発しながらも  互いに相手を引き立てつつ
1+1が 2以上の輝きを放っている
その両面が 心に響くものが好きな曲となるのでしょう

ときに 一方が一方のよさを打ち消してしまうこともあります
たとえば日常の会話などでは 言葉選びが大切ですが
同時に発声も重要になってきます
言葉に 声の抑揚や大小というメロデイが加わることにより
発言者のきもちが 受け手に伝わる印象 ニュアンスがわずかに変化します
その時の双方の感情にもよりますが
ここに違和感を覚えると 誤解や嫌悪感が生まれてしまいます
特に価値観の異なるもの同士では 相手にどのように伝えるかがとても大切です
雨音でさえ 受け手の捉え方によって 心地よい響きにもなれば  不愉快にも聴こえます
家族・仕事仲間・友人等との日々の生活は いわばオペラの連続のようです
互いに 心地よい一幕一幕であるように心掛けたいと思います

業務執行理事 坂本 卓穂


 

2023年4月 理事のリレーメッセージ

事業計画と福祉サービス第三者評価

桜

コロナ禍の三年間という長いトンネルを抜けて、出口のあかりがみえてきました。しかしウィルスが消滅したわけではなく、基本的な感染対策にしっかり取り組みながら従前の日常生活を回復する年度になりそうです。

昨年度は当法人の各施設は新型コロナウイルス感染症の陽性者の発生に伴い、新規入所者の停滞・自粛、各事業の休止等により日々の利用実績が低下しました。その上、光熱水費をはじめとする物価高騰の影響を受け、結果全ての高齢施設で厳しい財務状況に陥りました。
2023年度はご利用者、職員の日常生活の回復とともに財務状況の改善は喫緊の重要な課題となっています。
 
会計責任者である各施設長はサービスの質の向上、地域活動・災害対策、ICTの定着、組織活性化や職員育成、あるいは人材確保・定着、光熱水費をはじめとする物価高騰対策等々に加えて、収支状況の改善に真剣に向き合った新年度事業計画・予算になります。

事業計画の大切な柱のひとつは利用者サービスの質の向上です。そのために当法人全ての施設・事業は東京都福祉サービス第三者評価を年一回受審しています。
特別養護老人ホームをはじめ各事業ごとに受審し、評価を受けますが、そのなかで「組織マネジメント」の講評に「創業以来の理念が脈々と受け継がれています」「制度と人を繋げる」だけではない「入居者・家族に寄り添う」取組みは好感をもてます、とコメントされていました。
理念の共有、浸透、あるいは相談業務の質の向上はみえにくく、わかりにくい地道な取組ですが、評価者に評価していただけたことは、今後の大きな自信につながると思います。
それぞれの拠点で施設長を中心に、ひとりひとりの職員が事業計画にそって、利用者サービスの向上や地域支援に努める一年にしたいと願っています。

今年度もご指導、ご支援のほどよろしくお願いします。

理事長 鈴木 恂子